一般社団法人ダム工学会
 
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会長挨拶

 

平成24年度
一般社団法人ダム工学会 会長

田中 忠次 (たなか ただつぐ)

社団法人地域環境資源センター 理事長


会長あいさつ


 このたび、通常総会において、一般社団法人ダム工学会の19代会長に推挙いただき、身に余る光栄と存じます。ダム工学会は創立以来22年を迎え、歴代会長のご尽力で会員数が833名、賛助会員48社の学会となっており、責任の重大さを感じております。
 今年は、国際大ダム会議(ICOLD)2012年京都大会が開催される重大な年であります。この機会に、ダム工学会としては、これまで以上にダムの役割・効果などを一般の方に分かり易く情報発信していく必要があると考えております。
 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により、藤沼ダム(福島県須賀川市)が決壊し、死者7名、行方不明者1名の惨事を引き起こしました。同県内では約750箇所でフィル型式の農業用ダム・ため池が被災しました。1971年2月米国南カリフォルニアのサンサンフェルナンドダム (下ダム:水締め工法により築造されたダム)が地震ですべり破壊を起こし、決壊寸前になりました(堤頂より10m水位が低かったため決壊はまぬがれましたが、下流部住民8万人が避難する処置がとられました)。地震ですべり破壊を受ける5年前に、耐震評価が行なわれ、 いかなる地震にも本ダムは耐えられると結論されており、ダム事故後の検討でも、震度法による円弧すべり解析では、震度0.15で安全率は1.3でありました。一方、藤沼ダムでは同じ震度0.15で安全率が1.15であり、両ダムともすべり破壊を起こしています。藤沼ダムの場合は水締めではなく、 転圧工法がとられており、近代工法に比して見劣りするものの、いわゆる突発的な液状化は起こさない材料・締固め条件となっていました。なお、藤沼ダムの決壊原因調査報告書では液状化という用語は使われず、繰返し載荷による強度低下という表現がとられています。 このように、フィルダムの場合、円弧すべり安全率のみで耐震設計を行なうことでは不十分であり、材料・締固め条件に懸念がある場合は動的な耐震検討を行なうべきと思われます。
 昨年の台風12号豪雨では紀伊半島で大規模斜面の崩壊が発生しました。気候変動の影響とみられるこうした自然災害の多発化は避けて通れない課題になっています。とくに昨年は地震・台風などの未曾有の大災害が発生しており、科学的に正確な情報を社会に向けて発信していくことが極めて重要になってきていると感じております。
 今年の6月には、「リオ+20」がブラジルのリオデジャネイロで開催されます。テーマは「持続可能な開発及び貧困根絶の文脈におけるグリーン経済」であります。ここにグリーン経済とは、経済成長と環境を両立させた経済活動を指し、環境のために経済を抑制するという発想ではなく、環境に配慮した健全な形で経済を成長させ雇用も創出させるというものです。 20年前の同地で開催された「地球サミット」を経て持続可能な開発にかかわるこれまでの進捗を振り返る会議となりますが、気候変動、生態系の劣化など環境リスクを低減させつつ、人類の幸福と社会的公平性を向上させていくことが重要な課題であります。急激な世界の人口増加による水不足は深刻化しており、水資源開発が叫ばれている中、気候変動に伴う豪雨災害に加えて旱魃などのリスクが近年先鋭化しています。 ダム湖の水質保全、ダム本体の嵩上げを含む改築、再生可能エネルギーの重要な構成要素である水力発電、ダムそのものの持続可能性など、ダム工学が果たすべき大きな課題があると考えます。日本の優れたダム技術、とりわけ効率的で迅速な施工法、理論と経験に裏付けられた耐震技術を活用して、国際貢献していくことが重要であると考えます。
 ダム工学会としましては、ダムに関する学術研究の実施、交流、広報に取り組んでまいります。研究発表会、学会誌「ダム工学」の発刊、7研究部会の活動、講習会や現地見学会の実施(昨年は海外で実施)、ダム広報活動など、多様な活動を行っています。また、活性化対策行事として、地域活動、ICOLD京都大会への参加・ダム工学会ブースの運営、若手の会、ダムなんでも相談室、”with Dam Night in Kyoto”の企画・運営など多様な活動を行います。 これらの活動を実施することによって、学会活動の充実を図っていきたいと考えています。さらに、減少傾向にある会員数の減少を抑制し、入会促進のための方策を全力で取り組みたいと考えています。会員の皆様のご支援、ご協力をお願い申し上げ、会長就任の挨拶といたします。


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