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会長挨拶
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令和8年度
一般社団法人ダム工学会 会長
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山口 嘉一 (やまぐち よしかず)
一般財団法人ダム技術センター ダム技術研究監
一般社団法人日本大ダム会議 常務理事
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会長あいさつ
この度、角前会長(京都大学防災研究所 特定教授)の後を受けてダム工学会の第30代会長に選任されました山口でございます。 平成2年9月にその前身であるダム工学研究会として発足して以来、35年以上の歴史を有する学会の会長に選任されましたことは、ダム工学分野に研究者・技術者として長く身を置き、活動してきた者として、誠に光栄であると同時に、その重責を強く感じております。
ダム工学会は、会員相互の交流と協力並びに国内・国外の関連学会および研究機関等との連携によって、ダム工学研究の向上発達と研究成果の社会への速やかな還元を図ることを目的に、
①調査研究、②学術講演会、研究会等の開催、③国際的学術交流、④機関誌「ダム工学」の刊行などの活動を行っています。しかし一方で、これらの活動の活性化が強く求められていることも事実です。
角前会長におかれましては、2年間の就任期間中に、歴代会長時代に精力的に取り組んできた課題や対応も踏まえつつ、近年の課題に焦点を当てた、ダム工学会の取り組むべき3つの方向性として、「学会の活性化」、「国際的連携」、
「社会に対する情報発信」を示され、強力なリーダーシップを発揮されつつ、課題解決に向けて多くの取り組みを実施していただきましたことに感謝申し上げるとともに深く敬意を表したいと思います。
角前会長のもとダム工学会として実施してきた新しい取り組みのうち主な取組とその成果としては次のようなことが挙げられます。
(1)現在、年2回の発刊となっている機関誌「ダム工学」への論文・報告原稿の投稿を活性化すべく、各種学会賞受賞技術の紹介原稿の投稿や研究発表会での発表論文の査読付き論文としての投稿を働きかけ、原稿数の増加という形で成果が上がってきています。
(2)ダム工学会への学術分野からの参加、とりわけ次代を担う若手研究者の参加を促進するために、各関係専門分野のコアとなる学識者に参集いただくダム工学会懇談会を開催し、「アウトリーチの充実」、「コンテンツの構築」、「他分野との連携」、「新たな分野への展開」といった項目で提言を取りまとめています。詳細は、ダム工学(Vol.35、No.2:2025年9月)をご参照ください。
(3)活性化活動の一環として「ダムと周辺農業のかかわり交流会」、「水道ダム交流講演会」など新たな分野との交流を推進してきています。
(4)洪水調節にかかわる効果的でわかりやすい情報発信・伝達のあり方について検討を進めるとともに、マスコミとの意見交換を通じてダム側からの情報伝達の課題把握などを行ってきています。
(5)これからのダム工学分野を担う若い世代、学生といえば大学生・大学院生がメインのターゲットにはなりますが、活動範囲・対象のすそ野の拡大という観点から中高生をターゲットとして日本河川教育学会全国大会においてダム工学会活動の紹介を行いました。
上記のような積極的な活動を継続・発展させていくとともに、 “with Dam★Night” などの従来からの主要活動も適切に組み合わせてダム工学会の活動を活性化していくことが後を託された我々の責務であると強く認識しております。
令和8年度においては、例えば、地域活動である農業体験や水道ダム交流会の継続的実施、洪水調節に係る効果的でわかりやすい情報発信・伝達のあり方のとりまとめ・提言、昨年度にとりまとめた「ダムの広報・情報発信に関する提言」についてのダム事業者と意見交換及び提言の改訂なども計画・実施しております。
既に言い尽くされた感は否めませんが、現在、ダム工学分野におきましては、気候変動、働き方改革、技術者の高齢化、少子化による若い世代の減少、技術継承など多くの課題の解決に向けた対応が求められています。そのような時だからこそ、ダム工学会の主対象である研究、技術開発に寄せられる期待も大きいものと考えております。
ここで、紙面をお借りして、若手技術者の学会における活躍及び日本のダム技術の国際展開という観点でダム工学会の果たすべき役割について記させていただきたいと思います。
まず、若手技術者の学会における活躍です。ダム工学会に目を向けていただくだけの魅力ある活動の実施、それを経て会員数の増加、活動の拡大へと進める必要があります。特に、若い世代の方々の積極的な学会活動参加が重要と認識しています。
私自身のことになりますが、平成2年9月にダム工学会の前身であるダム工学研究会として発足した当時、私は建設省土木研究所に勤務する20代後半の若手研究者として、自分たちの専門分野の学会が発足したことに大きな喜びを感じ、 積極的に学会活動に参加するとともに、ダム工学への論文投稿を行い、それらを通じて多くの研究者・技術者の方々と知り合いになり、自分の活躍できる範囲が徐々に広がっていったように思います。
活躍できる範囲が広がると、さらにその範囲を広げていきたくなるといった具合に、状況がどんどん好転していったように思います。
ダム工学はもとより総合工学と言われています。 構造力学、水理学、地質学、コンクリート工学、機械工学、電気工学なども包含する総合工学ですので、ダム工学会を通じて知り合いになることのできる研究者・技術者の方々は極めて幅広い専門分野にわたることも大きな魅力でした。
このように考えますと、若い世代の方々にダムの魅力を知っていただき、ダム工学会の活動に参加していただくことにとどまらず、しっかりと活躍してもらえる場を提供できるかどうかが非常に重要だと思っております。
次に、日本のダム技術の国際展開です。ダム工学会では国際的学術交流を主要活動に位置付けていますが、2026年5月にメキシコ・グアダラハラで開催された国際大ダム会議(以下、「ICOLD」と称す。)第94回年次例会のシンポジウムでは、日本から26編と既往実績10編程度に比較して極めて多い論文が投稿されました。
これまでも日本において開発された技術は世界的にも優れた技術で注目されるべきものであったと考えておりますが、その技術内容を論文・報告文にとりまとめ、英語にて世界に発信することの重要性を多くの皆様が認識された結果だと思っております。
我が国のダム技術は、既に国際的舞台において大きな注目を浴びているものと考えます。昨年5月に中国・成都において開催されたICOLD第28回大会・第93回年次例会におけるInnovation
Award2025表彰において、鹿島建設株式会社が開発されたA⁴CSEL®(クワッドアクセル)技術が銀賞(Silver Medal)を受賞されたことも一つの重要な裏付けだと思っております。日本のダム技術の積極的な海外展開に大いに期待するところですが、
その技術開発の段階でダム工学会という場を積極的に活用していただきたいと思っております。
最後に、ダムに携われる多くの皆様がダム工学会に結集していただき、学会の発展にご協力いただきますようお願い申し上げます。私自身は甚だ微力ではございますが、学会員の皆様、理事、評議員の皆様のご協力をいただき、一歩ずつ歩を進めていきたいと思っております。ご支援のほどよろしくお願いいたします。
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