一般社団法人ダム工学会
 
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会長挨拶

 

平成30年度
一般社団法人ダム工学会 会長


田代 民治
(たしろ たみはる)

鹿島建設株式会社
代表取締役副社長執行役員


会長あいさつ

104 代土木学会会長の役目を終えて,このたび24 代ダム工学会会長を拝命しました。

   ご挨拶の前に,7 月に発生しました西日本豪雨災害で被災された方々には,心からお見舞い申し上げます。

   私は,入社以来,川治ダム,厳木ダム,宮ヶ瀬ダム,温井ダムと30 年余り,日本を代表するダム現場で,本当に充実しかつ楽しい土木屋人生を歩んできましたので,ダム工学会会長の職は,その集大成として心から光栄に感じています。

   入社当時,ダム工事は花形で,発注者を含めて諸先輩に,「ダム工事をやっていれば,他の工事は苦労せずにこなせるから」と言われ,大学ではほとんど勉強をしてこなかったのに,広範囲の知識と経験を実践で教えてもらいました(笑)。

   さて,今回会長をお引き受けするに当たり,濱口元会長,魚本前会長が精力的に進められた3 つの重点項目,@大学研究者との共同研究,A戦略的な広報活動,B中長期の学会のあり方の検討を引継ぐのは……実は奇遇なことに,このお二人は大学時代の同級生……至極当然ですが,それ以外に,もう一つやりたいことがあります。

   それは,本来土木分野で回すべき建設全体のPDCA を回すことです。実は,『P:測量・設計』⇒『D:施工』⇒『C:検査・品質管理』⇒『A:維持管理・更新』のサイクルが,その検証に時間がかかることや担当者が分断されているため,回っていない,回していないのです。例えば施工段階では,その段階でPDCA を回して,目先の新技術の開発は一応進めているものの,建設全体に関わる「維持管理までのデータを用いて,新しい技術や工法を設計に生かす」というトライが少ない,とりわけ他産業に比較すると少ないと思います。さらに付け加えますと,発注者・コンサル・施工業者などの担当内容が最近一層細かく分断されて,『測量・設計』『施工』『検査・品質管理』『維持管理・更新』において,次段階へつなぐ意識が欠落し,その継続性が失われていると言わざるを得ません。とくに『設計』から『施工』への設計図書はアナログデータで伝達されることが多く,『施工』から『検査・管理』へ引継ぐ検査書類などでも,会計検査を意識するあまり,構造物の寸法などの出来形検査や出来形管理の膨大な記録を,アナログデータや立会写真で残しているのが現状です。維持管理・更新に本当に必要な品質管理や埋設計器などの計測データや異2 ダム工学 Vol. 28 No. 3(2018)常時の処置データなどの保存,そしてその解析が足りないとの思いを強く抱いています。

   一方,建設業界は,何かと世間の批判を浴びながらも,Society 5.0 にうたわれている新経済社会実現の基盤となる良質なインフラの提供が期待されています。また,他産業とともに,働き方改革や革新的生産性革命も目指さなければなりません。

   したがって,今こそ新しい建設分野の実現のため,『i-Construction』でうたわれている調査・測量・設計から施工,検査・品質管理,維持管理・更新まで,3 次元データをインデックスとしてデジタル化されたデータを一元管理することにより,CIM/BIM を生産革命のエンジンとして,建設に関する大きなPDCA を回し,全体としての継続性を図る改革が必須であり,それこそが最重要課題の一つと思っています。

   このような状況下において,土木工事の中心を担い,RCD やCSG 工法を開発してきたダム技術者が,この実現の先頭に立って取り組んで欲しいと期待しています。さらにデジタル化されたこれらのデータの一部が一般にも公開されれば,ダムマニアをはじめダムファンの方々にももっと身近な情報を提供でき,ダムの応援部隊の増加につながるとともに,今回の豪雨でも多くのダムが貯水機能を発揮して災害を防止している姿をはじめ,インフラの重要性を理解していただける機会が増えるのではと思います。

   その意味では,『日本ダム協会』の施工技術研究会でもこの改革に取り組み出していますが,産・官・学がそろう『ダム工学会』こそ,この改革に本気で取り組むべきと思って活動していくつもりですので,会員の皆さまには,この実現にぜひともご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。


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