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ダム工学会"with Dam☆Night"2016開催報告

           
川崎秀明(活性化小委員長 正会員 ダム技術センター)
         
北川正男(実行チーフ 正会員 日本ダム協会) 


1.with Dam Nightの目的と意義

with Dam Nightウィズダム・ナイト)」は、市民・ダムファン、技術者・研究者の交流を通してダムに関する科学的基礎知識や情報を社会に適切に伝え、さらには多くの方々がダム見学に出かけるための「ダムへの架け橋」になることを目指すものです。6年目となった昨年2015年度は、ダム工学会25周年記念事業として、東京(626日)、北海道(1023)、中部・近畿(827)、中国・四国(116日)、九州(117日)の5地区で拡大開催され、様々な内容が盛況裏に終わり、名実ともに当学会の看板イベントとなりました。
 このようなダム工学会が職種以外の人との積極的な交流を目指した場作りを行うようになった背景に、ダムファンの存在があります。まず、マスコミにおいてダムマニアが最初に取り上げられたのは多分に、「タモリ倶楽部・ダム放水シーンベスト10200327日放映)」であり、放流シーンの迫力が世間に大きな反響を産みました。その後、2004年ほどから、ダム協会ホームページでダムファンの熱心な活動が取り上げられ、「2007年森と湖に親しむ旬間(721- 31日)」におけるダムカードの発行によってダムファンの裾野は女性や子供まで大きく広がりました。さらに、当時マニア向けの番組として人気を集めていた「BS熱中夜話・巨大建造物ナイト②ダム編」(200865日(木)放映)においてダムファンの様々な形態と知識の豊富さが具体的に知られるようになりました。
 ダムファンの活躍は専門性の高い分野にも及んでおり、200910台風18号木津川ダム群の洪水操作がダムファン制作の映像によって世に知られるようになり、この時の洪水時ダム操作が土木学会賞技術賞に選定されました(20105月)。2013年も日吉ダムの洪水操作がダムファン主宰による「第1回ダムアワード大賞(201312月)」に選ばれ、その後のダム工学会技術賞と土木学会賞技術賞の受賞となり、2015年は鬼怒川のダム洪水調節が話題となって「第3回ダムアワード大賞」に選ばれました。
 このように、ダムファンの活発な動きに引っ張られるように、世の人々のダムへの興味と理解が増し、1990年代以降吹き荒れていたダムへの逆風がこの数年かなり収まってきたのは、紛れもない事実です。このような活躍著しいダムファンに敬意をもって接し、シャイな人が多い我々ダムエンジニアとの交流を求めて始まったのが、「with Dam Night」です。

           with Dam Night

タイトル

日時

場所

摘要

with Dam Night(20 周年特別企画)第一夜:「ダム歴史的構造物」、第二夜:「水力発電」、第三夜:「RCD Now, CSG Now」、第四夜:「利根川・荒川の治水と利水」

2010 年
10
月 25,26日と
11 月
29,30 日

東京都本郷;東京大学

階段教室

23 講演、パネル展、web 中継

with Dam Night 2011    「ダムの底力」

2011 年
10 月 31 日

東京都中央区;日本橋社会教育会館

6 講演、web 中継

with Dam Night 関西

2011 年
12 月 8 日

京都市吉田;京都大学講義室

講演、トークショー

with Dam Night, 2012 Kyoto(国際大ダム会議京都大会特別企画)

2012 年
6 月 3 日

京都市;京都駅イベントスペース

講演、トークショー、パネル展

with Dam Night 2013「ダムドリーム」

2013 年6 月 28 日

東京都中央区;日本橋社会教育会館

6 講演、トークショー、web 中継

with Dam Night in Nagoya

2013 年
11 月 18 日

名古屋市千種区名古屋大学

講演、トークショー、パネル展

with Dam Night 2014「Dams be AMBITIOUS」

2014 年
7 月 14 日

東京都中央区;日本橋社会教育会館

6 講演、トークショー、web 中継

with Dam Night in Osaka

2014 年
9 月 11 日

CAFÉ Lab.(大阪駅 グランフロント大阪北館 1F)

講演、スライドショー、ビンゴ

with Dam Night    九州

2014 年12 月 12 日

福岡市早良区;九州大学西新プラザ

講演、トークショー

 with Dam Night 2015
     「世界のダム」
 2015年
6月26日
日本橋社会教育会 8階  講演、トークショーweb中継
 with Dam Night in Fukui
ダム四方山話(よもやまばなし)
 2015年
8月27日
炭火ステーキ&バル(福井駅アオッサ3F)  講演、トークショー ビンゴゲーム、パネル展
 with Dam Night in 北海道
「少年よ、北の大地よりダムを語れ!」
 2015年
 10月23日
TKP札幌駅カンファレン スセンター3F  講演、トークショー、パネル展
 with Dam Night in 中国・四国
 2015年
 11月6日
広島工業大学     広島校舎  講演、ダムクイズ、 パネル展
 with Dam Night in Kyusyu
 2015年
 11月7日
天神ビル11階9号会議室  講演、フォトコンテスト、プロローグ


2.with Dam Night 2016の概要

今回「with Dam Night 2016」は、新たな会場である「月島社会教育会館において、71日(金曜)に開催されました。テーマの「カンパイ! 傍楽(はたらく)ダム」は、「働くとは傍を楽にすることだが、ダムは人の営みを傍で支えるものである。」という意図で。「治水では、昨年は鬼怒川洪水の水位を相当に下げるなど堤防の負担を少なくすべくはたらいている。水道や農業用水では、河川や地下水の負担を減らすべくはたらいている。水力では、主要電源の火力を助けてはたらいている。」と、ダムはまさに広い範囲で活躍する「はたらくインフラの代表」です。

 表-1に7年目を迎えた今回の全体プログラムを示しますが、様々な傍を楽にするダムの夜噺が会場を大いに沸かせました。また、1年ぶりに軽食・飲料付きが復活し、開会前や休憩時でのホワイエでの歓談は、専門家とダムファンの様々な再会があり、楽しみの前のひと時でした。全体を通じても、会場には笑顔や熱気がごく自然にあふれていました。
 ちなみに、当会場は東京都中央区の公共施設としての制約はありますが、とても使いやすく、最寄りの月島駅からも近いです。




 with Dam Night2016の宣伝用パンフレット

表1  with Dam Night 2016 東京地区のプログラム

地区テーマ:「カンパイ!傍楽(はたらく)ダム
日時:2016年7月1日(金)PM18:10~21:00(開場17:50)
場所:月島社会教育会館4Fホール(東京都中央区)

主催:ダム工学会、
後援:日本ダム協会、
建設コンサルタント協会、
ダム工事総括管理技術者会

      18:10 開会挨拶                             ダム工学会会長    魚本健人

(夜噺1)18:15 「ダムの効用-素人ダムファンの視点より-   桑野玲子(東京大学教授)
(夜噺2)18:45 「大蔵ダムを忘れないで」                  安部 塁(ダムマイスター)
休憩 10分
(夜噺3)19:20 「水力発電で傍楽(はたらく)ダム」          河田暢亮(電源開発)
(夜噺4)19:50 「オカンが語る″親子でダム巡り″の魅力」         NOW2000(ダムマイスター)
(夜噺5)20:15 「北海道のダム、あんなこと、こんなこと~北の大地より広げる"ダムLOVE”の輪ッ!~」   
                                       尾山 玲(ドーコン)    21:05 閉会    総合司会:中野朱美    (ダム工学会 若手の会)
実行グループ
当日担当 ; 木元敏徳(三井住友建設)、佐藤公治(戸田建設)、 清水康記(国土開発)、牛久儀紀(ダム技術センター)、相良敦史(同左)、川原瑞基(同左)、望月優(同左)、豊島克亘(建技)戸花佑香(建技)、西村香保里(日本工営)
企画 ; 川崎秀明、北川正男、      チラシ ; 尾山玲



    写真1  会場全景              写真2  観客の皆さん

2.各講演内容の紹介

最初に開会の挨拶として、ダム工学会 魚本健人会長からの簡潔な話を頂きました(写真4)。

夜噺1.「ダムの効用-素人ダムファンの視点より-」 
                       
                 桑野 玲子 講師(写真5)

東京大学生産技術研究所教授の桑野先生は地盤工学分野のスターです。昨年ダム工学会に入っていただいた関係もあり、今回のご登壇となりましたが、素人と謙遜しながらも堂々の内容でした。内容は、ダムエンジニアだった父上の関係での幼少期のダムの付き合いから始まり、趣味である登山者から見たダムについて、実に興味津々の話をしていただきました。「日本の登山路にはいろいろなダムがある」と知り、山の上から見るダムの写真はとても新鮮かつ美しく、会場は何度もどよめきで包まれ、最後の「ダムファン宣言(ダムに積極的に行くという意味)」に会場は拍手喝さいでした。

夜噺2.「大蔵(おおぞう)ダムを忘れないで」  

                  安部 塁 講師(写真6)

 800基ものダム訪問をされた当講師ならではの誰も知りそうでないダムへの深い愛着をしみじみと語るものでした。内容は、福島第1原発に最も近いダムである大蔵ダム(アースダム)のため池としての地元大熊町での過去の活躍に、2011年の事故以降の人の居ない地元での休眠状況、坂下ダムの危機管理的な役割等を交えて、30年後の現役復活を願ってのお話でした。深刻なテーマだけに会場も真摯なムードに包まれました。



 写真3 テレビ・動画中継の始まり        写真4 魚本会長の挨拶  


  写真5  桑野 玲子 講師           写真6 阿部 塁 講師


夜噺3.「水力発電で傍楽(はたらく)ダム」   

                  河田暢亮 講師(写真7)

 水力発電のプロ登場となり、丁寧かつ平明に水力の役割を話していただきました。内容は、エネルギーのベストミックスにおける水力発電の機動性・重要性から始まり、発電容量の何倍にも値する働きぶり、最近の傾向について語っていただきました。最後は電発の美しくも逞しいダムの姿を写真で紹介いただき、会場の方々もこれらのダムを見に行きたいという気持ちで包まれました。電力会社のダムには見に行けないダムもありますが、国内水力ダムを牽引する電発の積極的なダムアピールに今後期待します。

夜噺4.「オカンが語る "親子でダム巡り" の魅力」   

                   NOW2000
 講師(写真8)

 小学生の息子と幼稚園の娘を連れての親子で350ものダムを回っておられるNOWさんです。内容は、「人はなぜダムに行くのか、どうすればダムにいくようになるのか」というダム工学会の我々が常に悩んでいることへの母親らしい絶妙の対応策から始まり、子供の好きなダムという視点から大人と違う感性を知り、笑いながらもなるほどの連発でした。ちなみに、地域名物とセットでダムに行くこと、子供の好きなダム展示物、ダムカードやダム特別開放が受けていること等、会場の皆さん、合点しました。


夜噺5「北海道のダム、あんなこと、こんなこと」~北の大地より広げるダムLOVE”の輪ッ!~   
                   尾山 玲 講師(写真9)

 昨年のwith Dam Night北海道を仕切って頂いた山さんですが、実は過去の東京開催の全回チラシは彼の手によるものです。今年は、札幌テレビを引き込んでの講演で笑いと感動の最高の大トリとなりました。内容は、自己紹介後の大迫力の北海道のダムの長い歴史を記すビデオ(尾山氏制作)から始まり、北海道のダムの面白いところ、ダムワイン・ダムコーヒーの小話、道営ダムのダムカードの一斉更新とそれを求めてのバイク一筆書き、北海有名人である上杉周大ブギウギ専務のダム巡りとダムラブ誕生などと、逸話満載で、会場は爆笑で何度も沸き返りました。最後は、会場全員で一斉に「ダム、ラブ」を唱和しポーズを決めるという、最高の盛り上がりとなりました。



 写真7  河田 暢亮 講師         写真8  NOW2000 講師


 写真9  尾山 玲 講師       写真10 最後のラブダムの輪

4.まとめ

今回のwith Dam Night 2016の会場は、思い切って月島に会場を変えての開催でしたが、観客数は百名+αとなり、例年より若干だけ多い入りとなりました。なお、今回会場の定員は20名と昨年(204)より一回り大きくなりましたので、来年はさらに来客増を目指せねばと思います。
 ただし、開演前の軽食・飲食コーナーが復活し、会場は昨年にも増して笑顔と和気藹々の雰囲気が満ちていました。この楽しいひとときこそがwith Dam Nightの真髄です。また、今年も昨年に続いて全国で幾つかのwith Dam Nightが開催される予定であり、この広がりは楽しみです。
 最後に、講師各位と協賛団体各位(日本ダム協会、建設コンサルタンツ協会、ダム工事総括管理技術者会等)と事務局のダム技術センターの協力に大いに感謝するとともに、各種段取りを担当頂いた皆様およびご支援頂いた関係各位に対して心からの謝意を表します。また、今回も動画中継(USTREAMとニコニコ生放送)を担当されたタカネ様、テレビ収録の札幌テレビ放送()大淵様に感謝申し上げます。


 写真11 和やかな受付状況      写真12  軽食コーナーの復活

今回の「with Dam Night 2016」の様子は、下記のURLより見ることが出来ますので、是非、ご覧ください!

http://www.ustream.tv/search?q=with+dam+night








           新潟日報  

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