1.はじめに
ダム工学会若手の会では、土木工学を勉強している学生および若手技術者を対象に「第12回ダムを知るための若手技術者勉強会 〜パワーアップ!ダム再開発〜」を令和8年2月3日(火)に開催しました。若手の会では、「技術現場からの研究課題の発掘と研究成果の社会への速やかな還元」を活動の目標として活動を行っており、本勉強会はこの一環として毎年開催しているものです。
今回の勉強会は、昨年度に引き続きオンラインでの実施となりました。今回のテーマは、「パワーアップ!ダム再開発」と題して、 「ダム事業をめぐる現状」、「早明浦ダム再生事業について」のご講演をいただき、ダム事業の「今」と「これから」について取り上げました。
大学や一般企業、法人団体などからの参加登録者は63名を数え、ダム事業の「今」と「これから」を学ぶ貴重な機会となった若手技術者勉強会について報告いたします。
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| 勉強会実施状況 |
2.プログラム
今回の勉強会は下記のプログラムで開催しました。
3.概要
今回は、国土交通省水管理・国土保全局と、独立行政法人水資源機構の皆様にご協力いただき、「パワーアップ!ダム再開発」をテーマにご講演いただきました。勉強会の始めには、東京科学大学 環境・社会理工学院教授の千々和先生より開会のご挨拶をいただきました。
3.1 プログラム1 ダム事業をめぐる現状
ダム事業をめぐる現状について、国土交通省 水管理・国土保全局治水課 服部企画専門官からご講演いただきました。
大きくは顕在化している気候変動の影響・ダムの役割・ダム建設事業状況とダム再生・流域総合水管理・ダムツーリズムをご説明いただきました。「顕在化している気候変動の影響」では、気候変動の影響で浸水被害の増加傾向していることから、その対応として気候変動を踏まえた計画へ見直しのほかに、温暖化による悪影響に備える「適応策」と温室効果ガスを減らす「緩和策」の2種類が気候変動対策であることを学ぶことができました。「ダム建設事業の状況」として、近年におけるダムの洪水調節の実施状況や事業実施中のダム建設事業、「既設ダムの活用」として流域の特性や課題に応じ、ソフト・ハード対策の両面から、既設ダムを有効活用する「ダム再生」を推進するご説明いただきました。今後の水災害からの防御について、大学や一般企業、法人団体など若手技術者や参加者への貴重な時間となりました。
3.2 プログラム2 早明浦ダム再生事業について
今年度、ダム工学会若手の会の取組みであるダム見学会により、見学した川内沢ダムのような新設ダムとは打って変わり、今回の勉強会では「ダム再生」をテーマに、水資源機構ダム事業部設計課 竹内委員から早明浦ダム再生事業についてご講演いただきました。
はじめに早明浦ダム再生事業の事業概要や現在の工事状況をご説明いただいた後、増設放流設備の詳細、上流仮締切設備の設計と施工、堤体削孔掘削の施工状況工夫についてわかりやすく示されていました。また図やイラストを用いて、早明浦ダムの施工の流れが視覚的に理解できるよう工夫がされていました。これから増えていくことが予想される「ダム再生」や「新技術」の内容をご紹介いただき、大学や一般企業、法人団体などの若手技術者や参加者からの幅広い内容の質問が寄せられ、関心の高さが窺えました。
4.おわりに
プログラムの最後には、東京大学 未来ビジョン研究センター 教授の川崎先生から総括と閉会の言葉をいただきました。今回の講演で日本の災害特性、ダムの多角的役割、再生事業の重要性、そして最新の技術と取り組みについて深く学ぶことができ、治水と利水、そして環境を包括的に捉える「流域総合水管理」の推進には、分野横断的な連携と科学的支援が重要であること。また、「ダムツーリズム」などの地域振興策は、ダムの魅力を広く伝え、社会的な理解を深める上で有効であるとのお言葉をいただきました。
勉強会後に実施したアンケートでは、講演内容について「適切」が回答の大半を占め、この勉強会を通して「ダム再生」に対する理解を深めるともに、ダムの魅力を感じていただけたのではないかと思います。
若手の会では、今後もダムの最新の動向に着目し、現地での見学会や、今回のようなオンライン上での勉強会といった、できるだけ多くの皆様にダムについて興味を持っていただけるような活動を継続してまいりたいと考えております。
最後になりますが、今回ご講演いただいた国土交通省水管理・国土保全局、独立行政法人水資源機構の皆様、本会委員の皆様、その他、ご協力いただいた皆様に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
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