一般社団法人ダム工学会
 
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行事報告

☆徳富ダム見学記☆

 

 

1.はじめに

  ダム工学会主催の第28回現地見学会が平成17年6月8日〜9日にかけて北條絋次団長のもと開催されました。今回の見学会は、北海道の一年の中で最も良い時期の6月に開催され、見学させていただいた忠別ダム、留萌ダム、徳富ダムの広大な印象に加えて、雄大な大雪山系の景色が目に焼きつきました。

 また、忠別ダムでの北條団長の技術レベルの高いコメントに、参加者一同敬意の念を抱きながらピリッとカラシのきいた見学会となりました。

 

写真− 1  初夏の大雪山

 

 見学会は初日に忠別ダムを見学し、2日目に留萌ダム、徳富ダムを見学しました。ここでは徳富ダムについて報告いたします。

 ところで、徳富は北海道特有のアイヌ語を由来とした当て字で、昔、石狩川と徳富川の合流点付近を「トックプト」と呼んでいたようです。

 アイヌ語で「トック」は「凸起物」、「プト」は「川の入り口」の意味だそうです。また、徳富ダムが位置する新十津川町は明治22年8月、奈良県吉野郡一帯を襲った豪雨により、「鳥も通わぬ十津川の里」と太平記に書かれた山村・十津川村が大水害により壊滅したため、新たな生活地を求めて600戸・2489人が入植した地でもあります。移住者たちは、この地を「新十津川」と名づけ、ふるさとを離れる際に誓った「移住地に必ずや第二の郷土を建設する」という決意と母村の伝統と文化、十津川郷土としての誇りをこの地で伝え続けようと厳しい自然条件に対峙しました。まさに北海道の開拓の歴史を象徴するような地です。

 

2.徳富ダムの概要

 徳富ダムは北海道開発局、北海道、西空知広域水道企業団の三者で事業を進めている共同ダムで 、石狩川水系徳富川の上流に建設中の補助多目的ダムです。堤体は堤高 78.4m、堤頂長309.0m、堤体積53万m3の重力式コンクリートダムで、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水および水道水の供給を目的としています。

 

写真− 2 事業所からの説明

 

3.ダムサイトの地質・基礎処理工

 ダムサイトの地質は基盤となっているのが新第三紀中新世の増毛層(凝灰質砂岩〜シルト岩)および鮮新世の徳富川溶岩集塊岩層(安山岩溶岩、安山岩質自破砕溶岩)です。これらを第四期の段丘堆積物、現河床堆積物、崖錐堆積物が覆っています。

 コンソリデーショングラウチングは@遮水性の改良A弱部の補強B低角度亀裂の補強を目的に、注入ゾーンを 13に分けて管理することとしており、また、カーテングラウチングは下流斜めカーテングラウチングを採用するなど、改良の難しさを感じました。

 

4.打設工法

 本体の打設方式は、ダンプ直送方式(改造型15tダンプ使用)を主体としたRCD工法を採用しています。また、堤頂部(EL298.0m以上)については、9.5t軌索式ケーブルクレーンによる拡張レア工法(1.5m追跡2層)を採用しています。これにより、年間最大打設量151,000m3、月最大打設量27,000m3、日最大打設量1,870m3、打設工期30ヶ月で53万m3を打設する予定です。

 

写真− 3 河床部全景

写真− 4

コンクリート製造プラント


写真−6 コンクリート打設状況


写真−5 コンクリート運搬路地点

 

5.骨材採取

  堤体コンクリートに使用する骨材は、品質・量、経済性・環境面を考慮してダム上流の段丘堆積物、河床堆積物を採取します。この際、地下水位より高い位置に分布する段丘堆積物、河床堆積物は細粒分が多く含まれるため、骨材の品質向上、骨材製造プラントでの目詰まりを防止、濁水処理設備の負担軽減を目的にフィンガースクリーンによって 10mm以下の土砂分をカットしています。

 

6.おわりに 

  最後に本見学会で案内・説明および質疑応答に対応していただいた札幌開発建設部樺戸農業開発事業所ならびに徳富ダム共同企業体の関係各位および現場見学を企画していただきましたダム工学会現地見学小委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。

                             ( 滑ヤ組  藤田 司 )

 

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