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行事報告

第16回現地見学会 忠別ダム見学記

 

 去る6月10日、11日に第16回ダム現地見学会が開催された。今回は北海道の忠別ダム、滝里ダム、桂沢ダム(幾春別川総合開発事業)が対象であり、かねてより忠別ダムに興味があったこともあり、案内が来たその日の内に了解を得て参加を申し込んだ。そのお陰かどうかここで忠別ダムの報告をさせていただくこととなった。

 旭川は大小約130の川の流れる町である。札幌から列車で旭川駅に近づくと雪解け水をとうとうと運ぶ忠別川と出会う。川はこの先で石狩川と合流している。

 ダムサイトは旭川駅からバスで1時間弱の緩やかな丘陵地にある。ダム地点から上流を望むとまだ雪化粧の大雪山系が連なり、約600mの広い河床が広がっており、まさに北海道のダムサイトという感じである。

 忠別ダムは石狩川総合開発計画の一環として建設省直轄の多目的ダムとして、北海道開発局によって建設が進められている総貯水容量約9,300万m3の大規模ダムである。

 ダム諸元は表に示すとおりであるが、単独でも十分大規模な重力式コンクリートダムと中央コア型フィルダムの複合ダムである。

 

ダム諸元

型式

重力式コンクリート
中央コア型フィルダムの複合ダム

堤高

コンクリート部 86.0m
フィル部 78.5m

堤頂長

885m(コンクリート部290m、フィル部595m)

堤体積

8,680,000m3(コンクリート部98万m3、フィル部770万m3)

放流設備

常 用洪水吐 コンジットゲート4.4m×4.4m2門
自由越流   12m〜1門
非常用洪水吐 ゲートレス EL=419.8m
13.5m×2.3m〜12門

ダムサイト地質

新第三紀中新世の輝石安山岩

 

 見学は企業体事務所での説明会から始まり、黒田団長のご挨拶の後、開発局の芳賀所長、庄司副所長より計画概要の説明を頂いた。引き続き企業体の上田所長、加藤所長より工事の概要についての説明があった。
忠別ダムの大きな特徴は、本格的なコンバインダムとしてはわが国で最初であること、砂礫地盤上にフィルダムを構築していることである。

 現在の進捗状況はコンクリートダム部約49万m3の打設が終了しており、フィルダム部は上流仮締切での試験盛立を開始していた。監査廊部は砂礫部の地中連続壁の施工が終わり、監査廊コンクリートを施工中である。転流は1次転流をフィルダム側に設ける開渠水路方式、2次転流はコンクリ−トダムに設ける堤内仮排水路トンネル方式であり、今秋に2次転流を行うとのことであった。

 続いて現場を見学したが、冒頭に書いたようにダムサイトは広く、米国を思わせる。当日はコンクリートダム部の打設中であり、打設方法は上流進入路によるダンプトラック直送方式である。コンクリートの品質は河床砂礫を骨材としていることもあり良好との説明を頂いた。

 施工計画上は転流方式が大きな特徴であると感じた。また、地中連続壁と監査廊の接合部は詳細な設計、施工がされていたことが印象に残った。

 忠別ダムの見学当日は好天に恵まれた素晴らしい見学日和であったこと、メンバーはまさに産、学、官の多分野から参加しており、黒田団長のリードによって普段にはない意見交換ができたことなどとても有意義な2日間となった。

 最後に、北海道開発局忠別ダム建設事業所の皆様、同共同企業体の皆様、準備からお世話いただきました現地見学会小委員会の皆様に紙面をお借りして御礼を申し上げます。

 

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施工中の忠別ダム(クリックで拡大表示します)

 

[潟nザマ 石原 吉雄]

 

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