一般社団法人ダム工学会
 
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第16回ダム現地見学会に参加して

 

 ダム工学会主催の第16回ダム現地見学会が6月10日、11日に、北海道の忠別ダムと滝里ダム、桂沢ダムで実施され、私達関西大学大学院生の2人も当見学会に参加する機会を頂いた。私達関西大学大学院生の2人は、土木材料学研究室に所属しておりコンクリ−トについて様々な研究を行っている。今まで参加した私達の現場見学会は、橋梁の上部工やコンクリ−ト二次製品工場等であったが、ダム見学は今回が初めてなので、ダムに関しては素人の私にとっては非常によい勉強になった。そして、生まれて初めて訪れた北海道は雲一つない晴天で、飛行機から展望した風景は、非常に貴重な体験となった。

 第1日目に見学地した忠別ダムは大雪山連峰白雲岳を源とする石狩川水系忠別川に、石狩川総合開発計画の一環として、北海道開発局によって建設されるわが国最大の複合ダムで、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水、水道用水の補給および発電を目的とした多目的ダムである。このダムの特徴は、ダムコンクリ−トの製造はDM工法を採用、打設はダンプトラック直送によるRCD工法である。

 私はこのダムを見学して、「こんな大規模なダムが造れるのかなぁ?」と第一に驚いた。正直、パンフレットで見たものと比較して現場で見たものは予想以上に大きく、実際にその現場を歩いて、初めてダム建設のコンクリ−ト打設を見て、土木工事の大規模さに驚いた。コンクリ−トの配合も私達が実験で行っている配合とは全く異なり、粗骨材の量が細骨材の量の約3倍程度あり、粗骨材の最大寸法も40o〜150oを使用し、堤体に必要なコンクリ−ト骨材原石および盛土材料は全て湛水池内の自然材料を使用しているなど、ダムに関心させられるものが多くあった。

 

忠別ダム堤体平面図

 

 第2日目は滝里ダムと桂沢ダムを見学した。滝里ダムは、石狩川水系空知川に建設される多目的ダムである。このダムの建設にあたり滝里水力発電所が建設され、完成すると北海道内の一般水力では最大の規模(57000kW)となる。このダム堤体はほとんど完成しており、放流管理設備・施設も見学することができた。私は、新技術の実施、周辺の自然環境への配慮、作業の高度化など、現場に行かないとわからないことが多くあると感じた。特に、ダム内部は迷路のような地下通路であった。

 桂沢ダムは、石狩川水系幾春別川に昭和32年に建設された多目的ダムであるが、貯水容量を増大させることでダム機能の向上を図るために、三笠ぽん別ダムを新設するとともに、桂沢ダムを嵩上げして新桂沢ダムを建設する再開発事業である。

 今回の現場見学会に参加した学生は私達だけで、周りの方々は現在現場で活躍されている土木技術者の方々ばかりだったので、非常に緊張した。特に、現場見学終了後の質疑応答で、私は「なぜ忠別ダムを複合ダムで建設するのか?」と聞きたかったが、企業の方々の質問内容を聞くとはずかしくなって言えなかった。しかし、宿泊先で指導教授や企業の方々に学生からそのような素朴な質問を期待していたと言われ、質問しなかったことを後悔した。私はダムに関してわからないことも多く、ダムの必要性に疑問を持っていたが、現場を見学したり宿泊先での懇親会等を通して、ダムについて何年・何十年と仕事をされている企業の方々と会話できたことによって、ダムの必要性やダムに興味を持つことができた。北海道は寒さが厳しく雪の多く降る地域であり、最高気温と最低気温の差が激しいので、一年を通してコンクリ−トの温度制御や現場施工などの十分な配慮、環境対策、ダムの施工技術等、いろいろな工夫がなされていることを学び、非常に勉強になる見学会であった。

 最後になりましたが、当見学会に参加する機会を与えて下さったダム工学会の皆様、ご多忙中にもかかわらず親切、丁寧にご説明いただきました北海道開発局と企業体の皆様に心から深く感謝申し上げ、そして、工事が安全に完了されますことをお祈り申し上げます。

[関西大学大学院生 井上 貴文]

 

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