一般社団法人ダム工学会
 
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行事報告

平成26年度 ダム工学会 研究発表会・講習会の開催報告

 

ダム工学会 学術研究発表会小委員会
講習会小委員会

 

 平成26年11月20日(木)に都内、星陵会館において「平成26年度 ダム工学会 研究発表会・講習会」を開催しました。発表会には60名の参加者を得て、午前の研究発表会では、4編の研究論文の発表と質疑応答が活発に行われました。午後の講習会では、3名の講師による講演を行いました。 


『研究発表会の部』

 発表論文は別紙に示したとおりで、ダム管理、耐震、維持管理、水理地質構造、各1編に関する計4編の研究発表が行われました。
  発表論文の概要は、以下のとおりです。

1.「大野ダムの洪水調節操作支援ツールの試作
          -洪水調節容量の効果的な活用にむけて-」
       京都府大野ダム総合管理事務所 久保薗 忠典 

 ダムの貯水容量を有効に活用し、ダムの負うリスクを最小化しながらの適時・適量の操作(適量操作)が求められていることから、管理の現場における支援ツールを開発、近年の中小洪水を対象に適用性について検討した。

2.「荒砥沢ダム加速度記録のNIOM解析化」
            埼玉大学理工学研究科  茂木 秀則

 荒砥沢ダムでは堤体の基礎部、中標高部、天端に地震計が設置されており、これらにより観測された地震記録を基にNIOM解析(2点間の地震記録の時間差から地震波の伝播時間を推定する手法)を実施して、地震時〜地震後における長期間にわたる堤体遮水ゾーン内の地震波の伝播時間の推移を比較検討した。

3.「衝撃弾性波法を用いたコンクリートダム
                  堤体の水平打継面調査」
(独)水資源機構 総合技術センター ダムグループ  市川 滋己

 コンクリートダム堤体内における水平打継面の劣化等の状態を調査する方法として、衝撃により入力した弾性波の反射波を用いた非破壊調査の手法を適用した。適用の結果、水平打継面の状態の面的分布について非破壊で把握できる可能性について確認した。

4.「ダムの試験湛水における基礎地盤由来の
                 漏水等問題に対する考察」
(独)土木研究所 地質・地盤研究グループ地質チーム 江口貴弘

 試験湛水におけて堤体および基礎地盤からの漏水の発生や、揚圧力異常等の課題が発生している例が見られる。本研究ではこれらの事例に対して、調査時,基礎掘削時,基礎処理施工時における漏水等の事例の原因となる地質の存在や分布について整理し、その透水性や改良性を把握するための着目点および、それらの設計・施工時における対応法についてまとめた。

 発表論文は、今後のダム管理、耐震解析、堤体の維持管理、および水理地質構造の検討に寄与するものと期待されます。

 当日の研究発表に対して、優秀発表賞選考委員会が会場内で開催され、慎重な審査の結果、優秀発表者として次の1編が選定され、優秀発表賞選考委員会 魚本委員長より賞状ならびに副賞が発表者に対して授与されました。

【優秀発表賞】    

「衝撃弾性波法を用いたコンクリートダム
                 堤体の水平打継面調査」

(独)水資源機構 総合技術センター ダムグループ 市川 滋己

  


論 文 発 表 風 景
会 場 風 景

優 秀 発 表 賞 受 賞 風 景


『講習会の部』

  講習会小委員会では、毎年、ダム工学だけでなく様々な分野の講師をお招きして講演を実施しています。今年は、3名の講師を御招きし、海外水力発電事業について、台湾湖山ダムの施工事例について、ダムの文献にみる補償の歴史について講演して頂きました。

『海外水力発電事業について-いくつかの実経験から-』

関西電力(株) 取締役常務執行役員
  橋本 コ昭

『台湾湖山ダムの施工』

大成建設(株)国際支店 台湾湖山ダム建設工事作業所 所長
 浅山 愛郎

『ダムを中心とした文献にみる補償の精神』

古賀河川図書館 館長
古賀 邦雄

 
 橋本 コ昭講師からは、関西電力における海外海外水力発電事業の実例を元に、調査精度や、人材育成、開発のリードタイムにかかわる課題について説明いただくとともに、リスクに対する準備、英語のスキル、交渉力、契約に関する知識等海外で求められる能力や専門家として求められることについて、ご自身の経験や座右の銘となっているパスツールの言葉も含めてご講演いただきました。

 浅山 愛郎講師からは、台湾湖山ダムにおける施工事例を通じて、契約範囲の確認や調達の重要性、契約条件の範囲内でいかに工夫し合理的に施工を進めた点についてご講演いただきました。また施工だけでなく、台湾の事情や鳥山頭ダム等日本人の先達の名に恥じることの無いよう苦心されたことについても、お話しいただきました。

 古賀 邦雄講師からは、ダムの文献を中心とした補償の精神について、過去の事例や文献、人にまつわるエピソードを交え、ダム事業にかかわる方々がいかに高い志を持ち、粘り強く補償交渉にあたられたか、事業者側だけでなく住民の方々の想いも含めてご講演いただきました。

 今回の3名の講師のお話を通して、我々が従事している「ダム事業」に対し、刻々と変化する環境に対応する心構えと先見性、行動力を持ち続け、ダムの発展の歩みを止めることのないように努めなければならないと、より一層身の引き締まる思いをしました。

橋本 コ昭 講師

浅山 愛郎 講師


古賀 邦雄 講師

 

発表論文一覧

1.「大野ダムの洪水調節操作支援ツールの試作
           -洪水調節容量の効果的な活用にむけて-」

京都府大野ダム総合管理事務所
久保薗 忠典

2.「荒砥沢ダム加速度記録のNIOM解析化」

埼玉大学理工学研究科
茂木 秀則

3.「衝撃弾性波法を用いたコンクリートダム
                   堤体の水平打継面調査」

(独)水資源機構 総合技術センターダムグループ
市川 滋己

4.「ダムの試験湛水における基礎地盤由来の
                  漏水等問題に対する考察」

(独)土木研究所 地質・地盤研究グループ地質チーム
江口貴弘

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